あらすじ

誰かを好きになる気持ち。その輝きを、運命だと信じたことはありませんか。
主人公の宮下結奈は、恋に恋するごく普通の高校二年生。彼女にとって「好き」とは、相手の優れたスペックに惹かれること。見た目が良くて、人気者で、キラキラと輝いて見える──そんな「王子様」を見つけては、理想の恋愛を夢想し、そして、現実の前にあっけなく砕け散る。その繰り返しだった。彼女の新たな恋のターゲットは、学園一のパーフェクトな王子様、一条蓮。今度こそ本物の恋だと信じる彼女の熱病が、また静かに始まろうとしていた。
その教室の片隅に、恋愛というものに全く興味を示さない少年がいた。篠田海斗。サッカー一筋で、不器用な彼が、生まれて初めて心を奪われる。相手は、クラスに君臨する、誰もが手を伸ばすことさえ諦める「氷の女王」天王寺栞。たった一度だけ垣間見た彼女の優しさを、世界の全てだと信じ込んだ彼の初恋は、しかし、あまりにも無謀で、惨めな一方通行の「恋」だった。
理想に恋をしては破れる少女と、たった一つの恋に身を焦がし、ボロボロになっていく少年。
それぞれのベクトルを向いていただけの二つの魂が、やがて、互いの恋が砕け散った、がらんどうの放課後の教室で、偶然にも交差する。
それは、慰めでも、励ましでもない。ただ、同じ痛みの形を知る者同士が、互いの存在を静かに認め合う、奇妙な共感の始まりだった。自己満足で刹那的な、熱病のような「恋」。そして、相手の幸せを心から願う、穏やかで切ない「愛」。その違いに、彼らはまだ気づいていない。
だが、二人が見つけた、傷ついた者同士の、あまりにも儚い平穏を、世界は放っておいてはくれない。忘れられない元カレと、忘れさせてくれない元カノ。逆回転を始めた周囲の歯車は、容赦なく、二人を新たな波乱へと巻き込んでいく。
これは、熱に浮かされた季節の終わりに見つける、たった一つの、本当の光の物語。どうしようもない「恋」の痛みの果てに、かけがえのない「愛」へとたどり着く、あまりにも切なく、そして、どこまでも優しい、私たちの等身大のラブストーリー。

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アルファポリス
アルファポリス2025/06/15
  • 現在の作品色を失くした世界のまんなかで