あらすじ
高校時代、人気のない空き地で交わしたキス、交わした言葉、制服越しに感じた温度——。
忘れられない“初恋の彼女”ユキの面影を、主人公はいまも引きずっている。
舞台は地方都市の終電。職場の飲み会帰り、ふとした気まぐれで主人公は風俗の誘いに乗る。
指名もせず、なんとなく「黒髪」「狐目」「痩せ型」「泣きぼくろ」と、自分の記憶をなぞるように伝えた条件に現れたのは、
まさしく“彼女に似た誰か”だった。
だが、ワンピースの下に見えた背中のほくろ。照れた時の癖。
幾重にも重なる偶然が、次第に「偶然ではなかった」という確信に変わっていく。
そして彼女の口から漏れた、「ばれちゃったか」という一言。
記憶と現実、愛と欲望、商品と個人、そして“彼女”と“ユキ”の間を揺れ動く物語。
お金で買ったはずのセックスが、いつしか互いの記憶と体温を確かめ合うものになっていく。
男は“商品としての彼女”を赦せず、女は“商品から外れる自分”を恐れながらも受け入れていく。
そのズレと交錯の先に、ふたりだけの「初恋の続き」が描かれる。
切なく、えぐく、そして濃密。
ただの再会劇ではない、“記憶の肖像”を書き換える夜が、ここにある。