あらすじ

「人生なんて、しょせん思い通りにならないことの連続だ」
そう達観したフリをして、クールで省エネな高校生活を送る、夏目涼。彼の願いはただ一つ、何事もない平穏な日々。しかし、そのささやかな望みは、彼が所属する「民俗学研究部」の、天真爛漫で猪突猛進な部長・天野蛍によって、いとも容易く打ち砕かれる運命にあった。

七月の蒸し暑い午後。廃部寸前の部室に舞い込んできたのは、吹奏楽部の女子生徒からの切実な依頼。それは、文化祭の演奏曲を巡る、クラスの男女対立を仲裁してほしいというものだった。「今流行りのJ-POP」を推す女子と、「魂を揺さぶるロボットアニメの曲」を譲らない男子。「これは民主主義への冒涜だ!」と練習をボイコットする男子に、途方に暮れる女子。涼にとっては心底どうでもいい、くだらなくも根深い問題に、好奇心旺盛な蛍は「任せて!」と目を輝かせる。

案の定、調査は難航。「分かり合うなんて幻想だ」と諦める涼に対し、蛍は「ただ、流れが詰まってるだけだよ」と、物事の本質を直感で見抜く。そんな中、涼は学校近くの神社で、風変わりな神主・九十九さんに出会う。「問題は外にあるようで、実は自分の内側にあるもんじゃ」「相手のメガネを、ちょっと借りてみるんじゃ」——謎めいた言葉は、涼の凝り固まった心を静かに揺さぶり始める。

これは、ひねくれ者の僕と、永久機関のような彼女が、こんがらがった青春の謎に挑む、ひと夏の物語。くだらないことで笑い転げたかと思えば、ふと胸を締め付けるような切なさが顔を出す。思い通りにならない現実も、ほんの少し「ものの見方」を変えるだけで、世界は昨日までとは違う、豊かな色彩を放ち始めるのかもしれない。友情と謎解き、そして少し不思議な体験が詰まった、忘れられない夏が、今、ここから始まる。

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アルファポリス
アルファポリス2025/07/01
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