あらすじ
過労死した三十路デザイナー・シオリは、異世界の港町〈ポート・ルミナ〉に転生。
感情と月光で色を変える“潮光インク”を調合し、波の音と共にゆったり暮らし始めた。刻むのは締め切りではなく、自分のペースで流れる時間――朝は潮騒に耳を澄まし、昼はインク素材を探す街歩き、夜はランプの灯りで手紙を書く穏やかな日々。
常連客の青年フィンは、満潮の数時間だけ陸に上がる人魚。彼を蝕む“乾き”を癒やすには、満月に現れる〈月雫石〉が必要らしい。
静かな店先から始まる小さな冒険と、潮光インクが繋ぐ大人の交流。――港町の夜が蒼く輝き始めるとき、ふたりの想いも静かに満ちていく。