あらすじ
肝試しのトンネルで、僕が恋に落ちたのは、
触れることさえできない、美しい幽霊だった――。
主人公は、オカルトを一切信じない現実主義者の大学生、高槻快斗。冷やかし半分で訪れた心霊スポットで、彼は、この世の者とは思えぬほど儚く美しい少女、雫と出会う。
「また来たのね、物好きが」
彼女が、触れられない存在だと知りながらも、快斗の心には抗いがたい「恋」の炎が灯ってしまう。毎日トンネルへ通う快斗のその衝動は、生存本能に刻まれた「恋」という名の麻薬なのか。それとも、相手の幸福だけを願う、本当の「愛」なのか。
「私には壁がないの。あなたの体の中、血液が流れる音も聞こえる」
交流を深めるうち、快斗は、彼女が物理法則を超えた「高次元の存在」であり、叶わぬ恋の記憶に縛られていることを知る。触れられないもどかしさ、次元が違うことの絶対的な断絶。そして、自分の恋心そのものが、彼女をさらに苦しめているという事実に、快斗は絶望する。
三次元の青年と、高次元の少女が紡ぐ、おかしくて、切なくて、どうしようもなく愛おしい、異次元ラブストーリー。二人が見つけ出す「結ばれる」ことの、たった一つの答えとは。
涙なしには読めない、魂の物語が、今、始まる。