あらすじ
深い山あいの村・野口にひとり暮らす老炭焼き・田井甚作。火を絶やさず、声高に語ることもなく、静かに暮らす彼のもとへ、ある春、役場職員の綾子が訪れる。時代に忘れられた寒村の暮らし、絶えつつある記憶、そして老いた父を知らぬ間に遠ざけていた娘・恵との再会。その季節ごとに移ろう自然の美しさと、囲炉裏の火のぬくもりの中に、家族と暮らしの真実が浮かび上がっていく。
忘れられた土地のひと、もの、暮らしを綾子が記録し、娘・恵が再び向き合い、孫娘・千晶が火を継いでいく。ひとつの火が、静かに次の時代へと渡される。