あらすじ
異世界《トラン=ザイム》。そこは、通貨の概念が失われ、物々交換だけが文明を支える停滞した世界だった。
「信用」「報酬」「対価」という経済の基盤を欠くがゆえに、人々は旧態依然とした部族社会に留まり、王国同士は意味のない領土争いを繰り返すばかり。
そんな世界に、現代日本で金融コンサルとして働いていた青年・結城央真は、ある日突然、転移事故に巻き込まれ、放り込まれた。
所持金ゼロ、言語不通、現代との通信手段もなし。
唯一、スマホの待ち受け画面に表示された**《楽天ポイント残高:80,000pt》**だけが、彼に残された唯一の資産だった。
通信機能が使えないはずのスマホ。しかし、このポイントだけが、異世界において「可視化された資産」として干渉力を持ち、世界に価値観を与える「概念通貨」として機能することが判明する。
「これは……資本だ。俺がこの世界の最初の"中央銀行"になる」
物々交換しか知らない村人に「ポイント」という新しい価値を与え、その信用を創造し、流通させる。
やがて、その小さな信用は、やがて巨大な経済圏を形成し、文明を動かす「力」へと進化していく。
剣と魔法が世界を支配する旧体制に、央真は「経済」という武器で挑む。
戦争を終わらせるのは、剣でも魔法でもない。資本だ──。