あらすじ
――僕は、一年分の“恋の記憶”を失っていた。
舞台は、桜の花が舞い散る多摩西部のベッドタウン、桜町市。
高校二年生の**橘木 蓮司(たちばなぎ れんじ)**は、一年間の記憶を失った少年。特に重要なのは、誰かを「愛していた」という、最も甘く、最も切ないはずの記憶の欠落だった。
ある日、彼の手に渡ったのは一通の古びた手紙。それは、失われた記憶の中の“僕”が誰かに宛てたものだった。手紙の導きで足を踏み入れたのは、校舎の旧館にある「恋文部」という文芸同好会。そこに集うのは、皆、過去に誰かへ宛てた手紙を持ち、そして誰かに宛てたはずの手紙を失った少女たちだった。
「失われた記憶と、手紙に隠された嘘と、書き換えられる恋の物語を、一緒に解き明かしてくれませんか?」
七人の少女たちとの、記憶の欠片を巡る恋のミステリーが始まる。
だが、蓮司はまだ知らない。この物語の全てが、やがて来る結末のために綴られた、ある一人の少女からの「恋文」であるということを――。