あらすじ
「恋の芽」がわかってしまう——それが私の、厄介な力だ。
誰かが私に好意を持ちはじめた“その瞬間”を、私は感じてしまう。
だから咲く前に、その恋を摘んでしまう。
……私の中に芽生えそうな気持ちと一緒に。
週末だけ、私は雑居ビルの一室で占い師になる。
看板もWebサイトもない。料金も、かなり高額。
なのに、なぜか予約は途切れない。
「当たるらしい」と、口コミだけが一人歩きしているらしい。
ある日、ひとりの男性が訪れた。
タロットは、彼の隣に私を示していた。
でも彼には、別の誰かを想う気持ちがあった。
私は、その恋を応援することにした。
——これは、彼の中に芽生えかけた“私への恋”を、
気づいて、見守って、そして静かに摘みつづけた私の物語。