あらすじ
通勤路で偶然見つけた奇妙な店「本質商会」で、主人公は「本質」を購入する。代価は「自己の分割」だった。店主に案内された地下で鏡を見ると、映像が現実より早く動き、背中に鍵穴があることを発見する。
「意識検査」を受けた主人公は、記憶売買所で過去を売り、存在交換センターで新たな身分を得る。しかし再構築された自己に違和感を覚え、名前登記所で偽名「Kazuma N.」を登録する。
匿名者同盟との出会いを経て、記録破壊者ネットワークに参加。最終的に「不在証明発行局」で自己の完全な消失を選択する。存在しないことこそが真の自己だと悟った主人公は、記憶の海に溶け込んでいく。
現代社会におけるアイデンティティの商品化と、制度に管理される個人の存在への根源的な問いを、幻想的な世界で描いた実験的作品。