あらすじ
「君……最近、顔が変わったね」
「えっ、ああ、ははは……」
会社の休憩所。コーヒーを片手にした課長が唐突にそんなことを言い出し、おれは曖昧な笑みで返した。
おそらく『頼れる顔つきになった』とか『一人前の風格が出てきた』みたいな好意的な意味ではない。課長の眉間に寄った皺が、コーヒーの苦味によるものなら話は別だが。
「君……頼むよ、ほんとに。まず心だよ、心」
「はい! ははは……」
課長はどうも昔ながらの精神論を信じて疑わないタイプらしい。いちいち真面目に受け止めていたら、こちらの神経が持たない。だからいつものように、適当に笑ってやり過ごすに限る。
そう思っていたのだが、その日を境に妙なことが起こり始めた。