あらすじ
夜、とある一軒家。夫は玄関前でポケットから鍵を取り出すと、ふうと息をついた。いつも通りの夜だ。家の中から、妻の笑い声が漏れている。
「ただいまー……ん?」
だが、ドアを開けた瞬間、夫はわずかな違和感を覚えて立ち止まった。ただ、何がどう違うのかは言語化できなかった。ひとまず靴を脱ぎながら耳を澄ますと、奥のほうからドタバタと慌ただしい音が響いてきた。
妻が出迎えに来るのかと思い、少し待ってみたが、どうも違ったらしい。誰も現れない。
夫は小さく息を吐き、洗面所へ足を向けた。
すると、その途中――階段の下で息を呑んだ。
「あ、あ、そんな……」