あらすじ
【興奮してご主人様をぺろぺろしちゃうかも。でも子犬だから許してね。わん♡】
「き、君はいったい誰なんだ!? なぜ僕の部屋のベッドで寝ているの!!」
まるで子犬みたいな無邪気な目をした美少女――黒髪清楚な女子高生と僕は運命的な出逢いをしてしまった。それも自分の部屋のベッドの上で!?
僕――猪野宣人(いのせんと)には誰にも言えない秘密の力がある。相手が心の中に抱えたもっとも悲しい記憶が視える不思議な力だ。
その力を発動させるには対象の相手と抱擁(ハグ)する必要がある。でも人の悲しみをのぞき見していったい何の得がある? 暗い気持ちに引きずり込まれるだけだ。
最初に力を発動させたのが若い女性だったトラウマから僕は高校一年生になっても女の子と接するのが大の苦手だった。
もちろん恋なんて一生出来っこない。そう思っていたはずなのに……。
「……オリザ、行く場所がない。おりこうにするからご主人様とここで暮らしたい」
部屋のベッドで寝ていた美少女はオリザと名乗った。なんと自分を犬だと信じ込んでいる。そんな訳ありな彼女を家に連れて来た僕の親父は多くを語ろうとしない。
「宣人、今日からお前が世話をしろ。それが部屋を使う条件だ」
「ふざけんなよ!! 誰が新しい犬の世話なんかするもんか」
子犬を飼うはずじゃなかったのかよ!? それが黒髪清楚な女子高生だと!! 他人との身体接触が苦手な僕がどうして女の子とひとつ屋根の下どころか離れにある個室部屋で暮らさなきゃならないんだ……。
なし崩し的に始まった奇妙な同棲生活、謎に包まれていたオリザの素性が次第に明らかになる。
彼女は隣町にある名門お嬢様女子高に通っていたそうだ。どうして彼女はそれまでの記憶をなくして自分を犬だと信じ込んでしまったのか?_
オリザの過去に隠された悲しい出来事を知った時、僕は人生最大の決断を迫られる
彼女と出会った頃の自分はその事実を知るよしもなかった……。