あらすじ
歴史に名を遺さず、剣だけが語り継がれる――。
戦国の只中、白装束をまとい、無名のまま戦場を駆け抜けた男・沖田静。
その剣は戦局を変え、その命は誰かを救った。だが、彼の名は軍記にも史書にも刻まれなかった。
なぜ彼は名を捨て、剣にすべてを賭けたのか。
なぜ彼の背を、誰もが忘れられなかったのか。
死を受け入れ、名も栄光も拒んだ剣士と、彼を見送った者たち。
語られぬまま埋もれたその魂を、誰かが書き留めようとしている――。
それは祈りか、贖いか、あるいは愛か。
静かに胸を打つ、無名の英雄譚。
この物語は、“語り継ぐ”ということの意味を、
そして“遺らすべきもの”が何かを、
読む者に問いかける。