あらすじ
かつて“白銀の姫君”と讃えられた第三王女セレフィーネは、王都を離れ〈黒翼の森〉へ送られる途中、謎の“野盗”に襲撃され命を落とした。
だがその最期、彼女がかつて使役していたスライム――ヌルが、主を喰らい、その記憶・姿・声を受け継ぐ。
セレフィーネの死とともに生まれ変わったヌルは、名もなき泥の命。
森の瘴気に満ちた静寂の中で、彼は人の形を保ちながら少しずつ「感情」というものに目覚めていく。
理不尽に奪われた少女の人生。
世界を支配する“合理”と“排除”の論理。
ヌルはただの模倣ではなく、セレフィーネの想いと共に歩む存在として、自らの意志を宿し始める。
――これは、ひとりの姫の死から始まる、異形の復讐譚。
世界に棄てられた泥の王女が、再び玉座を睨むまでの、静かなる目覚めの物語。