あらすじ
高校二年生、高城たかしろ 澪みおは、陸上部の短距離走のエース。
まっすぐな性格で何ごとにも全力だが、自分の気持ちを“言葉”にするのが苦手で、人との距離をうまくつかめないでいる。
感情をぶつけられるのは、スタートラインからゴールまでの、たった数秒間だけ。
そんな彼女が、ある日迷い込んだのは美術室。
そこにいたのは、無表情で冷たそうな美術教師――佐伯さえき 蓮れん。
「モデル、やってみる気あるか?」
元・天才画家として名を馳せながら、突然表舞台から姿を消した佐伯。
彼はもう二度と、誰かのために絵を描くことはないと心に決めていた。
走ることでしか自分を表現できなかった澪と、描くことに怯えながらも誰かを見つめ続けてしまう佐伯。
お互いの“言葉にならない衝動”が交差するとき、止まっていた時間が動き出す。
少しずつ、澪は“色”で、佐伯は“感情”で、
失っていたものを取り戻していく。
教師と生徒。
描く者と、描かれる者。
そして、伝えたかった気持ち。
これは、声にならなかった想いが、絵と走りで繋がっていく、危うくも純粋な放課後ラブストーリー。