あらすじ
瀬戸内海に浮かぶ小さな島〈灯凪島〉。過疎と高齢化が進むこの島で、かつて夏の風物詩として親しまれていた伝統イベント〈サンセットフェス〉は、十年前の台風でステージが倒壊して以来、開催されていない。
この春、島の高校に進学した少女・結香は、かつての祭を復活させたいと強く願っていた。彼女が目指すのは、観光や経済の再生ではない。島に生きる誰か一人ひとりの「戻ってきたいと思える居場所」をつくること。言葉では多くを語らない彼女だが、その背中と行動が、同級生・翔斗の心を動かす。
翔斗は、他人から好かれることを望むあまり、本音を隠して生きてきた少年。だが、結香のぶれない姿勢に触れるうち、「本当に好かれる人間とは何か」を自分に問い始める。
そして仲間たちが集う。自作ドローンを駆使する引きこもり気質の颯斗、何でもこなすが自信の持てない恵里、理想と現実に悩む音響担当の葵、観察力でチームを支える利奈、そして脱線ばかりだけど自分の得意を理解しているトロイと、冷静沈着なアリヤ。
反対する大人たち、予算不足、台風被害……数々の困難を前にしながらも、「じゃあ、どうすれば?」と問い、行動し、助け合う。言い訳をせず、立ち止まらず、一歩一歩進んでいく彼らの姿は、誰かの心に「信じたい」という火を灯していく。
夏が来るまでの三ヶ月間。島の誰もが「もう無理だ」と言った夢に、彼らは向き合い、挑み、叶えようとする。
これは、誰かのために動き出した少女と、行動の強さが人を変えていく物語。潮風が運ぶ希望の音に、あなたも耳をすませてみませんか?