あらすじ
厳冬のなか、駄菓子屋のやさしいお婆さんの峯(みね)さんが行方不明になった。
峯さんは重い病を持っている。そして翠(すい)の母親代わりのような存在だった。
その居場所を、あの夜空に浮かぶ天体、『彗星』が知らせようとしている、と翠(すい)は言う。
そんなこと、あるわけない、と俺は思っていた。
しかし、現実の小さな破れ目から、魔訶不思議な出来事が、次々に起きて――
〈本分より〉
"冷気の中、脚を送った。鬱蒼とした森林公園で、けたたましい数の椋鳥が啼(な)いていた。
彗星が、彗星が、彗星が。俺は叫んでいた"
"「……彗星?」
「翠が言っていただろう。彗星が、峯さんの居場所を知らせてくれるって」
「まだそんなばかなことを……」
跨線橋の灰色の壁から雫がたらりたらり流れている。俺は首をふり呟いた。
「彗星に意思なんてない。だいいちどうやって通信するんだ」"
※表紙イラストはこまざきさまに描いて頂きました。
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