あらすじ

大学生の椎(しい)は、自分の感情の起伏にほとんど気づくことができない。それでも、日々に支障はなく、淡々と理屈で行動を選び、必要な課題をこなしている。けれど最近、囲碁の実力が落ちていたり、会話のテンポに乗れなかったり、自分の判断力が鈍ってきた感覚があった。人と関わらず、刺激を避けて過ごしてきた影響かもしれない――そう考えた椎は、読書をしたり、体を動かしたり、会話を増やしてみようと試みる。感情ではなく「合理的な理由」でそう行動する彼だが、日々のなかで他者の感情や行動に触れるたび、わずかずつ理解の幅が広がっていく。理解はしても、自分が感情で動くことはできない。それでも、少しずつ、確かに、「感情で考える」世界の仕組みに歩み寄っていく――静かで揺るがない、ひとりの学生の記録。

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小説を読もう2025/07/30
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