あらすじ
――その声は、誰にも聞こえず、ただ彼女のそばに在った。
藤緒(ふじお)は、医の技を受け継ぐ家に生まれ、
身体と心に向き合う術を学びながら、不思議なカードたちと共に育った。
その力に名はなく、語られることもほとんどない。
いくつかの兆しと、避けられない出来事が重なり、
藤緒は家を離れることになる。
きっかけのひとつには、とある青年の存在があった。
理知的で礼儀を忘れず、必要な場面にだけ言葉を選ぶその人もまた、
別の道を背負って歩みを始めていた。
ふたりの道が交差することに、理由はあった。
けれど、それ以上のことはまだ、語られていない。
◆ 和風幻想 × 占術 × 医術 × 歴史ロマン ◆
静かに揺れ始めた世界で、忘れられた祈りに触れる物語。