あらすじ

空を飛べるはずだ―― そう思ったのは、根拠などない本能だった。 魔法は覚悟があれば使える。そう信じて、ぼくは飛び降りた。 空に向かってではなく、落下へ。何も起こらず、世界は静かに終わった。 それが、始まりだった。 目を覚ますと、赤ん坊だった。 知らない母の腕の中で泣いていたが、空だけはすぐに見つけた。 この世界には魔法があった。人々の生活を支える小さな魔法。 だが空を飛ぶ魔法は、誰にも知られていなかった。 幼い頃から、ぼくは空を見ては胸が騒いだ。鳥を見ては、翼を感じた。 母は言う。「魔力を使いすぎちゃだめ、気絶するよ」 それでも、ぼくは止められなかった。毎日、魔力を使い尽くす。少しずつ回復しながら、魔力が育っていく。 魔法を使うための知識はない。 だから、ぼくの記録は“身体”と“感覚”の中にある。魔力が流れる指先、痺れる心臓、揺れる視界。 それらを積み重ねて、空に届く手段を探している。 前前世の記憶は、ない。 けれど、誰にも教わっていない魔力制御が、ぼくの中には確かに存在している。 それは、かつて空を駆け、魔法で戦った者の名残かもしれない。 魔法航空師団――その団長だった魂が、ラクスという名前の下で生き直しているのだとしたら。 空は遠い。 でも、命を軽んじて届く空ではない。 今度こそ、生きたまま、空へ至るために。

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小説を読もう2025/07/17
  • 現在の作品空に描く自由の軌跡 〜翼なき魔法使いの夢〜