あらすじ
※この小説は「IN:銀河より遠い∞世界」に関係する作品のひとつでもあります。
身長155cm。
その数字が意味するのは、「成長の止まった骨」などではない。
それは彼にとって、**“人間であることを許されなかった高さ”**だった。
教室では笑い声が飛び交い、スマホのシャッター音が卑猥に響く。
「ちっせぇ」「女みたい」「気持ち悪い」「男子じゃねえだろ」
小五から始まったそれは、ただのいじめではなかった。
それは彼の“人格”を解体する、集団による“公開処刑”だった。
媚薬入りの牛乳。
意識を残したままの陵辱。
スマホで晒される裸体と喘ぎ。
少女の上履き泥棒という冤罪。
誰も庇わない。教師も、家族も。
「お前が悪い」「恥をかくな」「家名に傷がつくな」
やがて彼の心は焼け焦げ、何も感じなくなった。
試験? 勉強? そんなことができる精神状態なら、誰が自殺する?
「中浪おめでとう」と黒板に書かれた卒業式の午後。
少年は、誰に見送られるでもなく、公園のトイレで包丁を心臓に突き立てた。
その瞬間、世界は静かに終わった。
……しかし、目を開けると彼は“生まれていた”。
空には二つの太陽。全身を包むのは温かな血と滑り。
呻く母の声。まばゆい光。
異世界《ラスロ王国》。
魔法と剣、裏切りと戦争、血と鉄が秩序をつくる中世世界。
生まれ変わった彼の肉体は、やはり**「小柄な少年」**だった。
スキルなし。チートなし。称号も加護もない。
彼は“選ばれざる者”として、この世界に投げ出された。
だが、彼の眼光は鋭く燃えていた。
——この世界には、「身長」で人間の価値を決める奴はいない。
——この世界には、「黒板の落書き」も「笑い声」も「卑怯な教師」もいない。
あるのは、力のみ。
剣の刃が、魔法の咆哮が、知略の果てが、すべてを決める。
ならば登れ。血の階段を。
小さき身体でも、心は腐っていない。
むしろ、あの地獄を生き延びた心は、誰よりも硬く、黒く、そして鋭い。
「この世界の“頂”は、誰の目線にある?」
世界を殺すのは、もう“俺の番”だ。