あらすじ
七月十四日、夜八時。
平凡な高校二年生、磯野優太は、忘れた提出期限ギリギリの課題を取るために夜の校舎に忍び込んだ。
しかし、そこで彼は思わぬ出会いを体験する。
人気のない廊下の奥、月明かりに照らされた床の上。
制服のまま、まるで眠るように、あるいは――置き去りにされたように、廊下に横たわる「千堂萌音」をする。
学年一の優等生。誰とも交わらず、誰にも近づかない、完璧な少女。そんな彼女がどうしてここにいるのか。
そして、彼女は、なぜか裸足だった。
自分がどこから来たのかを、覚えていなかった。
ありえないはずの深夜の出会い。
交わす言葉はたしかに現実なのに、彼女の存在にはどこか重力が足りない。
まるで、少しだけズレた世界から来たみたいに。
その日から、彼の日常は少しずつひび割れ始める。
この出会いは、偶然じゃなかったのかもしれない。
――君はいったい、何者なんだ。