あらすじ

異世界? 別世界から来れば何でもできる? そんなものは都合の良い夢や幻だという事は、青年自身が良く分かっていた。できる奴はどこに行ってもできるし、できない奴はどこに行ってもできないんだ、と。 部屋のドアを開けると、そこは見知らぬ森の中。 端末の電波も届かず、動物も虫の声すら聞こえない薄暗い森の中。 街道に出ると馬車に乗った家族が、人の形をした何かに襲われていた。 言葉も通じず、何の力も能力も持たない青年。 勉強もスポーツも、良く言っても平均的、馬鹿でもないし、運動音痴でもない。だが誰より秀でる程に自慢できる能力もない。 青年の性分といえば、精々仲間から「優しい」とか「良い奴」と言われる位だろうか。 周囲にとって「都合のいい奴」程度の大学生に、この世界は一体何を求めているのだろうか。 これは、特異な力に目覚めても、全てを救う事が出来ない青年が、苦悩の果てに選び続けた軌跡の物語である。 無力故に大切な者を守れず、力を得ても大切な者を守る為に、相手の命を奪うしかない矛盾と相対し続ける。優しさ故に多くの者から愛される一方、優しさ故に失敗し、失い続ける。 ついには、英雄と祀り上げられるも歴史からは抹消され、決して語られる事のない記号と化していく。 その記号の名は―――

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小説を読もう2025/04/19
  • 現在の作品Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか