あらすじ
高校生活最初の昼休みが終わりに近づき、教室に戻ろうと早い足取りで廊下を歩いていた私、明神亜々子は、驚きのあまり思わず立ち止まった。
あまりに予期せず不意打ちを食らったような止まり方だったので、ズレてしまった丸眼鏡の両端を指の腹で押さえ、元の位置に戻す。
そうしてなお、まじまじと見直してみても間違いなかった。
1年2組、私の教室の前にチンドン屋がいた。
まるで、キャッチセールスのような高めのテンションで、ショートヘアの涼しげな目元の印象的な人間広告塔が、親しげな作り笑いを浮かべ、小走りでコチラに近づいてくる。
その姿は、妖怪のヌリカベを連想させた。