あらすじ
人とアンドロイドが共に暮らすことが当たり前になった時代。
人々は彼らに「感情」を与え、「家族」や「友達」として迎え入れるようになった。
だが、その“心”はあくまで模倣されたもの——そう信じられていた。
雨宮透、小学六年生。
表面上は何も変わらない毎日を過ごしていたが、家族の喪失という過去を抱え、誰にも見せない心の奥に、まだ言葉にならない痛みを沈めていた。
そんなある日、透の家に感情支援型アンドロイド「ユイ」が届けられる。
見た目は透と同じ年頃の少女。人間のように喋り、笑い、けれどどこか、人間ではない。
冷たく接しながらも、ユイと暮らす日々の中で、透の中の“なにか”が少しずつ変わりはじめる。
それは、閉ざしていた心が静かにほどけていくような、小さな芽吹き。
ユイには感情がある。だが、「恋」という感情だけは、設計されていない。
彼女が“それ”に気づくまで、まだ長い時間がかかる。
そして、その過程で透もまた、自分自身と向き合うことになる。
これは、少年とアンドロイドのあいだに芽生えた、静かで、純粋で、長い長い旅の記録。
「人の心は、どうしてこんなにも複雑で、あたたかいのだろう」
プログラムでは測れない、心と心の距離を描く青春譚。