あらすじ
灼熱の風が吹き荒れる「怒れる火山の村」。精霊族のシオンと共に旅を続けるルナは、故郷の記憶が薄れていくことに恐怖を感じていた。かつて精霊の森だったというこの地は、エルティアの**『魂の循環』**を歪める太陽族のせいで、荒れ果てた怒りの象徴と化していた。
村は溶岩流に半分を飲み込まれ、住民たちの顔に希望の光はなかった。ルナは持っていた最後の水を分け与え、シオンは精霊の力で病に苦しむ子供たちを癒やす。その夜、子供たちに故郷の「花火」の思い出を語るルナの言葉に、子供たちは目を輝かせる。しかし、夜が明けると、地面は激しく揺れ、ついに真っ赤な溶岩が村へと流れ始めた。
絶体絶命の状況の中、シオンは精霊の剣でルナを守ろうとするが、火山灰に光を遮られ、ルナの魔法は使えない。そのとき、ルナは過去の「視える者」の幻影を見る。彼らの瞳に映る、何かを失った痛みがルナ自身の心と重なり、太陽族の行動が単なる悪意ではないのかもしれないと無意識に感じ始める。
「お前の中にある、ほんのわずかな希望の光が、この世界を変える鍵だ」
シオンの言葉に背中を押され、ルナは空に手をかざし、一筋の光を掴む。その光は、彼女の希望と覚悟が結晶化した無数のダイヤモンドの雨となり、灼熱の溶岩に降り注ぐ。溶岩はみるみるうちに黒い岩へと変化し、その隙間からは、ルナの故郷の花火に似た形の葉を持つ小さな新芽が顔を出した。それは、ルナの犠牲が別の形でこの世界に再生された瞬間だった。
しかし、その代償として、ルナは故郷での家族との夏の思い出の大部分を失ってしまう。膝から崩れ落ち、心にぽっかりと空いた穴に言葉にならない痛みを覚えるルナ。彼女に残ったのは、シオンの腕の温かさだけだった。
再生された大地を見て感謝する村人たちに見送られ、ルナとシオンは再び旅路につく。ルナは、失った記憶の痛みを抱えながらも、「この旅を、前に進むことをやめるわけにはいかない」と決意を新たにする。世界を救うことと、自分自身を取り戻すこと。二つの目的を胸に、彼らの旅は続く。