あらすじ
洞窟の奥深くに建てられた今にも崩れそうな掘っ立て小屋に、王命で訪れた王国の騎士、ニール・マクレイ。
彼の目の前に座るのは『洞窟の魔女』と謳われるミルドレット・レイラ・ルーデンベルン。何を隠そう、彼女はルーデンベルン王国の第二王女だった。あまりの天真爛漫さに修道院に入れられるも脱走。行き倒れになっているところを魔導士に拾われて、すっかり『洞窟の魔女』として名も売れてきたところを、ニールによって発見されたのだ。
しかし、ニールは王城に連れ戻そうとしているわけではなかった。彼女を姉である第一王女アリテミラの身代わりとして、隣国の王子へ嫁がせる王命を果たす為に来たのだ。
隣国ヒュリムトンは大国である為、国力が高く、王太子妃の座を狙い、他国からも妃候補が送り込まれていた。彼女達に打ち勝ち、王太子妃の座を勝ち取らなければ、ミルドレットは父王に殺される運命であることを知る。
ミルドレットは断固拒否し、幼少期に淡い恋心を抱いていたニールにも断絶の態を取るが、ニールは強制的にミルドレットを連れて隣国へと向かってしまう。
どうにもつかみどころの無い隣国の王子シハイルは、ミルドレットを気に入った風ではあるものの、自分には妃を選ぶ権利が無いのだと言う。
ミルドレットは王太子妃になる為、ニールの厳しい特訓を受ける事となった。しかし、淑女として成長をしていくミルドレットに比例して、ニールにもまた変化が起こり始める。
暗殺者まがいの扱いを受け続け、過酷な王命ばかりを果たし、自らの人生をまるで傍観者の様に考えていたニールの凍り付いた心を、ミルドレットの天真爛漫さが少しずつ溶かしていく。