あらすじ
「価標(かひょう)」――それは、胸に宿る石の色。
その色が、人の価値すべてを決める世界で、
高校三年の少女・アリスの価標は、ずっと“無色”のままだった。
家族にも、学校にも、社会にも必要とされない日々。
唯一の友人・ルルの死をきっかけに、アリスの価標は“黒”に染まる。
黒。それは「理解されなかった者」にだけ与えられる、世界の拒絶。
「危険人物」「価値のない存在」――そう決めつけられたアリスは、
社会の網に囚われる前に、ひとりの同級生・ナギに連れ出され、逃げ出す。
逃亡の果てで出会うのは、価標をすべて得たのに絶望した青年・ツクモ。
そして夢の中で、アリスを見つめる観測者・アズル。
黒の価標に宿るものは、汚れか、それとも――
これは、色に支配された世界で“名前のない価値”を探す旅。
誰にも見えなかった黒の中に、まだ、光はある。