あらすじ
「好きになるのは自由でも、嫌いになるのは理由が要ると思うの」
小さな美術倉庫の中央で、奥村は筆洗に突っ込んだ平筆をくるくるとかき混ぜる。
「なんで理由がいるんだ?」
「だって、嫌うって攻撃みたいなものじゃない。攻撃するならちゃんと理由がなくちゃかわいそうでしょ」
そう話しながら彼女は表情を変えずに筆先に色を乗せてキャンバスに運ぶ。
「市倉くんは桜が好き?」
「僕も桜は嫌いかな」
「どうして?」
言えるわけないだろ。
僕はまだ一度もこちらを見ない彼女の横顔に思う。
桜が妬ましいから、なんて。
一目惚れ認定者と億目惚れ乙女の青春ラブコメです。