あらすじ
【冥界の双翼(めいかいのそうよく)】
二〇二〇年に世界的流行をみせたウイルスのパンデミックショックにより世界は大恐慌時代へと入っていく。
世界中の国々ではあらゆる手段を使って経済を立て直すために奮闘した結果、多くの国でベーシックインカムの導入が決まる。
又、ベーシックインカムを導入した国のほとんどが次々と急激な経済回復をみせる中、日本は利権や財源の問題により、それを行う事が出来なかった。
ろくな対策も打てないまま時代が流れ、貧富の差が拡大し、ついには国民の怒り爆発と共に各地で暴動やテロが経済損失に拍車をかけた。
そんな歴史的な背景もあって、日本はデフォルト(債務不履行)し、預金封鎖とハイパーインフレによって国民の資産が一瞬にして消える。
国はこの危機をおさめるため海外情報の遮断という大規模情報統制を行う。
又、経済回復のために狂った様にどこまでも突き進む労働思想のせいで「非労働者処置法」という法ができ、二十歳以上八十歳未満学生以外で働かない(働けない)者が犯罪者として扱われる様になってしまう。
その法は厳しく、破れば殺処分。又、それを庇う者も公務執行妨害として殺処分を受ける。
働けない日が二週間を超えると厚生労働省の労働基準監督官が刑の執行に現れるのだった。
どうしてもこの腐った社会を変え、平和で豊かな生活を送りたい咲貴と千織は大学で脳科学を専攻し、人工知能を使って経済を回復させ、その財源を使ってベーシックインカムの導入を考える。
しかし著作権や肖像権など権利の規制が厳しい日本社会において、ビッグデータの収集戦で海外に負け、人工知能の権利を海外に抑えられてしまう。
そんな労働最優先主義のディストピアで綴る近未来SF。