あらすじ
子供のころ、私と双子の姉は祖母にピアノを習っていた。
祖母と姉はもういないけれど、祖母のピアノは今も家にあり、心の拠り所だった。
けれどある日、ピアノは売られてしまった。寂しさに駆られた私が訪ねたのは、ピアノ修理工房「トッカータ」。
そこでピアノの修理師として働く”ユキくん”は、かつて祖母にレッスンを受けていた、私の憧れの人だった。
トッカータの人たち、ユキくんや店のオーナー・カヤさん、調律師の匠人さんが作り出す空気は温かく、新たな居場所を見つけた私の日常は徐々に色づいていく。
過ごす時間が増えるにつれてユキくんへの想いも募っていくけれど、私にはまだ癒えない悲しみがあって――。
ピアノが繋ぐ、大切な人との絆の物語。
ほんのりミステリーの、ほっこりできる連作短編です。