あらすじ
天正十八年(一五九〇)、関白豊臣秀吉は、日ノ本中の大軍勢を率いて、北条が籠城する小田原城を包囲していた。その包囲していた軍勢の中に、後に天下三美少年と呼ばれる三人の若武者がいた。名古屋山三郎、不破万作、水野少次郎、この物語は、彼ら三人に東国無双の美姫と呼ばれた甲斐姫を加えた四人が、伊達政宗や徳川家康の仕掛ける陰謀に巻き込まれながらも、それぞれが抱える問題を乗り越えていこうとする青春模様を描いた時代伝奇物語である。
名古屋山三郎――蒲生氏郷の小姓として小田原征伐に従軍していた山三郎は、北条の夜討ちを撃退した後、全身を鎌鼬に斬り刻まれ血塗れになっている味方将兵の姿を発見する。
甲斐姫――関白秀吉の小田原征伐の折、成田の居城、忍城を石田三成から守り抜いた甲斐姫は、後になって、銃弾をも弾き返す謎の武者「鋼の武者」が成田の軍に紛れていたことを知る。
不破万作――羽柴秀次の小姓として小田原征伐に従軍していた万作は、徳川ともめ事を起こすが島津豊久に助けられ、彼の強さに憧れる。その後、宇都宮で秀吉が透明な蛇に襲撃されるという事件が発生した。
水野少次郎――出生と共に両親を失い「呪いの子」と呼ばれていた少次郎は、荒んだ生活を送っていたが、やがて美貌を武器に自らの人生を切り開いていく。少次郎には、他人には見えないあるものが見えていた。
蒲生氏郷の元に山三郎、客将として参陣していた万作、松浦左兵衛と名を変えた少次郎の三人が集い、三人は、戦乱を終わらせるべく、最後の戦いに臨む。遥か北の地で、彼らを待っていた運命とは。
真の敵は誰なのか。真の悪とは何なのか。激動の時代の中で、彼らは何を得て、何を失ったのか。美少年達の数奇な運命、しかと御覧じろ。