あらすじ
高校生の鴉双兄妹は仲がいい。
まさに理想の兄妹である。
兄の時雨(しぐれ)は、平凡を夢見る冷静沈着(クール)で唯我独尊(ピーキー)な切れ者。
得意なことは、ヤバい連中に目を付けられること。
妹の凛音(りず)は、女子高生インフルエンサーとして活躍する人気者。
ただその裏で、巷の怪奇現象の噂を集めては、その場所へと赴く《怪奇廻り》を繰り返している。
凛音が《怪奇廻り》をするのは、趣味や娯楽のためではない。
5年前に死亡して、それまでの全てを忘れ生き返ったという奇妙な過去があるからだ。
そんな凛音の《怪奇廻り》を、時雨は条件付きで見逃している。
『もし危険な状況に陥ることがあれば、俺だけには分かるようにしておくこと』
――そして今日も今日とて、怪奇事件に巻き込まれた凛音からの連絡を受け、時雨は妹を迎えに行く。
人々が暮らす日常の傍に紛れるよう存在する、怪奇たちの領域へ。
特別な能力を【まったく持ち合わせていない】時雨の目的は、単純明快。
怪奇たちを出し抜いて、妹を平凡な日常に連れ帰ること。
これは、互いのことを大切に思い慈しみ合う、そんな怪奇に歪んだ兄妹の物語である。