あらすじ
帝都アルメリアの名門、カリステン公爵家の一人娘・エルフィーナは、かつて“氷の令嬢”と呼ばれた。
政略結婚、宮廷の駆け引き、貴族の仮面舞踏会――そうした華やかな世界に息苦しさを感じていた彼女は、ある夜、全てを捨てて姿を消した。
それから3年後。
名を変え、身分を隠し、田舎の村でパンを焼く彼女は、もう“氷”ではなくなっていた。
静かな暮らしのなかで出会った青年・ルネ。
優しい笑顔と温かな手が、凍てついた彼女の心を少しずつ溶かしていく。
けれどある日、かつての婚約者が現れ、彼女の過去を暴こうとする。
平穏な日々と恋のはざまで、彼女が選ぶ未来とは――。
帝都では今、王と王弟による“後継者争い”が水面下で激化していた。
そのなかで、かつて婚約破棄された“公爵令嬢エルフィーナ”の行方が、ある意味で王位継承の鍵を握っていた。
なぜなら――
彼女は王弟派と政略結婚する予定だった「“調停の象徴”」。
その彼女が“生きていて、村で暮らしている”という噂が流れ、火種が一気に燃え広がる。
村に軍が迫る。
帝都から追手が来る。
それでも彼女は、「ここで生きる」ことを選べるのか――。