あらすじ
父親の葬式を終えたタクミは、実家の部屋で飲んでいた。
すると、部屋の片隅に女性の気配がする。
それは、タクミが生まれて2日後に死んだ母親の霊だったのである。
母親の霊は、息子にお乳もやれない無念を抱いて、50年経った今も、ずっと部屋でタクミに乳を飲ませることを夢見て、そこに存在し続けていたのだ。
思い出してみると、子供のころ、母親にお乳を飲ませて貰った記憶が蘇ってくる。
あれは、幽霊となった母親だったのだろうか。
そんな母親が、今、タクミにお乳を飲ませようとしている。
タクミは、母親を憐れに思う気持ちと、母親が成仏するきっかけになるのではないかと言う気持ちで母親の乳を吸った。
その乳房は、死んだ当時の25歳の若い女の乳房だった。
その時、タクミは、母親の乳房に、若い女の乳房を感じたのだった。
しかし、いずれにしろ、母親は、幽霊となって、この世に未練を残したままである。
何とか、成仏させたいと、凡海上人に、成仏させてと頼むのであるが、いい加減な性格の凡海上人は、その母親の幽霊を連れて帰ってしまう。
そして、3か月後に、凡海上人は、死んでしまった。
たぶん、母親に道連れにされたのだろう。
ただ、1人寂しく、部屋で成仏できずにいるよりも、凡海上人と一緒なら、少しは母親も救われているのじゃないかとタクミは解釈した。
実家の部屋に戻って、目を凝らしても、もう母親の姿は無い。
ただ、タクミの掌には、若い女の乳房の温もりだけが残っていた。