あらすじ
日本橋界隈に辻斬りが横行した。被害者は亡き藤五郎と縁の者たちだ。日本橋の香具師の縄張りは、吉次郎一家の残党、福助一味が握っている。
葉月(八月)。五人目の被害者がでた後、三人の刺客が何者かに刺殺された。町方も藤五郎一味も、辻斬りは縄張りを拡げようとする、福助の仕業と推察されたが確証は無い。
福助一味に潜入している、藤五郎一味の香具師によれば、福助が刺客を雇って辻斬りをやらせていたと判明したが、潜入している香具師は福助から、用心棒を探せ、と命じられていただけで、刺客が何者かに刺殺されたため、福助が刺客に辻斬りを命じた確証はなかった。
潜入している香具師は新たに用心棒を雇うように命じられた。
これら、江戸の事件は、今は亡き藤五郎一味の香具師を通じて、逐一、隅田村のお藤に伝えられて、特使探索方の上司、勘定吟味役荻原重秀に伝えられていた。荻原重秀が『騒ぎを起こしてはならぬ』と指示を受けていた藤五郎一味の元締の又三郎は、これまでの事を、聞きこみに現れた町方に話すよう、仲間の香具師の元締たちにいいふくめた。
町方の聞きこみで、福助が刺客を雇おうとしていると知った特使探索方の唐十郎は、剣術指南の教え子、水戸徳川家下屋敷の留守居役後藤伊織と特使探索方の佐近とともに、刺客を請け負う振りをして福助に近づき、取り潰しになった吉田屋で福助から殺しの依頼を受けた。
福助が殺しの指示を口にしたとたん、吉田屋の外で待機していた与力の藤堂八郎率いる町方が吉田屋に踏みいって福助とその一味を捕縛した。
福助は死罪、一味の香具師は島流しの沙汰が下った。潜入していた香具師はお咎め無しになった。
その後。御上は、香具師世界の出来事を逐一報告することを条件に、日本橋の香具師の元締だった亡き藤五郎の跡目を、隅田村の仁藤屋のお藤が継ぐことを認めた。
唐十郎は両国橋西詰めの担い屋台を訪れた。