あらすじ
21世紀を迎えた今日ですが、かつて1980年代に語られた「在るべき21世紀像」とは全く異なる、まるで19世紀に逆戻りしたような社会的状況が、今の日本を覆っています。フルタイムで働いても最低生活費に及ばないワーキングプア状態の非正規雇用者、労働法規を無視して過酷な労働を強いる企業経営者、東日本大震災に伴う停電・・・・まさに19世紀の日清戦争の時代にまで後退したかのようですが、今回掲載する「日清戦争」は、そのタイトル通り、この日本最初の対外戦争において、明治期の庶民がどうかかわり、その結果どうなったのかを、一人の少女の視点から描いていく物語です。
明治維新から27年を経た明治政府は、議会対策、財政と全ての面で行き詰まっていました。
それを打開すべく、ときのの権力者たちが仕組んだのが日清戦争だったのです。
当時の庶民は一日の稼ぎが、その日の住居費・食費にも及ばない有様で、こうした庶民を置き捨てて、明治政府は西南戦争後の財政難を増税で乗り切ろうとし、
それに耐えられなかった人々が、秩父や佐渡で反乱を起こすと、これを武力で鎮圧、その一方で、明治11年に「参謀本部条例」と「軍人訓戒」
、同15年8月5日には「戒厳令」を元老院の審議なしに布告、外征軍にふさわしい組織機構と思想統制を実現、対外戦争国家の体裁を整えるに至ったのです。
これらの外征用軍隊と法律を悪用した日清戦争が起こらなければ、明治政府は数年を経ずして行き詰まり、藩閥政府が倒れて、大隈内閣→犬養内閣と続いてもっと早く政党政治が実現、庶民も民主的な雰囲気の中で生活できたかもしれません。
女学校の給仕をしている少女・結衣には、実は、秩父事件の叛徒の娘
であるという隠された過去があった。「賊」の身内であることを隠す結衣は、不穏分子の予備検束で逮捕された蓮田里子(佐渡島動乱の首謀者)の事件をきっかけに、海軍士官の兄を持つ雪子、この戦争で一儲けをたくらむ麻里子、徳山藩侯の娘ヒロ子ら女学校の生徒とともに、日清戦争にかかわっていく。
軍資金献納パーティーでメイドをした結衣は「Over the waves」の華麗な調べに魅了され、まだ見ぬ世界に憧れ、やがて自分の道を見出していくが・・・・。