あらすじ

天正八年(1580年)甲斐国。武田勝頼の嫡男、太郎信勝は物心ついた頃から自分の存在そのものが父に弓引くようなものだと勘付いていた。設楽ヶ原の合戦以来、武田家は織田信長によって谷底に追い詰められていくような状態にある中でその信長の姪を母に持った自分は勝頼にとってこの上なく呪わしい存在なのではないか? 信勝の苦悩を知るのは叔父の信清だけだ。名門の安田家を継いだ彼は歳の近い兄のようで有り、かつ心のうちを話せる相談相手でもあった。信勝はその信清から甲斐の国府が韮崎の新府城に移ると言う話を聞かされる。これまでに無い猛攻に備えるために確かに新府城は必要だが躑躅ヶ崎館を出る日、驚くべき光景を目にする。 天正十年(1582年)に入ると状況は更に悪化。織田・徳川の猛攻によって多くの城が落ち、一族も家臣も多くが離反した。最後の頼りであった高遠城が落ちて万事尽きた勝頼らは未完成の新府城をも破却し、小山田信茂の岩殿城を目指す。新府城で切腹して果てたかった信勝は遂に心中を吐き出し無念の思いで逃避行に加わる。生まれ育った躑躅ヶ崎館に加え、再起を図る筈だった新府城とも別れさせられた信勝はある決意を固める。

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エブリスタ2025/03/02
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