あらすじ

舞台は春の名残が残る帝都。かつて演舞座で照明係を務めていた吾妻光一は、最愛の歌姫・篠原鈴を失い、からくり屋として静かに日々を過ごしていた。鈴が舞台を去ったのは結核と噂される病によって。彼女の声と想いを記憶した“からくり装置”だけが、光一の心を繋ぎとめていた。 ある日、鈴の声を取り戻したいという風変わりな少女が現れる。彼女の導きで訪れた古道具屋にて、光一は“からくり恋歌機”と呼ばれる未完成の装置と再会する。それは、彼女の「想い」を音として再生する奇跡の機械だった。 失われた鈴の最後の唄を完成させるため、光一は自身の想いを紙巻きに刻み、装置に命を吹き込む。やがて蘇った鈴の声が、確かに恋を歌い、光一の心に返歌として届いた。 そして大正から令和――時代が変わり、AI音楽が普及する未来。かつての“からくり恋歌”は一人の少女の手で発見され、新たな歌として蘇る。百年を越えて再生されたその恋歌は、時代も技術も越え、「心」を揺らす音楽として人々の胸に響く。 これは、“声”と“想い”を紡いだ、ひとつの恋の記録。忘れ去られそうになった愛が、機械仕掛けの歌として、未来へと綴られていく――。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
エブリスタ
エブリスタ2025/05/20
  • 現在の作品心綴る、からくり恋歌