あらすじ
定年を迎えた65歳の景司は、長年の勤めを終えてもなお、現役時代の金銭感覚のまま浪費を続けていた。期待していた年金も思いのほか少ない。やがて現実に向き合い、シルバー人材センターで週に二日働き、庭で野菜を育て、新聞をやめて図書館に通う生活へと移行する。ある日、旧友に「我慢してるな」と言われたが、景司は笑い、「節約と我慢は違うよ」と答える。
節約とは不自由を耐えることではなく、自ら選び取る暮らし方だと景司は実感していく。湯豆腐の味に季節を感じ、郷土史講座で語る自分の体験が人に喜ばれ、老いが「蓄え」であると気づく。質素だが満ち足りた日々の中、景司は静かに生きる自由と誇りを見出していく。節約とは、“好き”を大切にするための選択なのだと。