あらすじ

市営南ヶ丘団地第八棟の管理人・景司は、かつて市役所福祉課に勤めた後、早期退職し、老朽団地の片隅で住民と向き合う日々を送っていた。生活保護受給者や高齢者、ひとり親世帯など、世間からこぼれ落ちた人々を相手に、景司は地味で目立たぬ支援を続けてきた。 そんな折、団地の売却・建て替えの話が持ち上がる。「官は儲けてはいけない」という恩師の教えを胸に、景司は住民の不安を和らげつつ、市と粘り強く交渉し、段階的な移転計画を実現に導く。 別れの朝、少年が渡した手描きの絵、住民の感謝の言葉、無骨な男の手渡した缶ビール、景司が長年拾い集めた小さな善意が、静かに報われていく。役職も報酬もない、ただの管理人として働いた景司は、塀の向こうに続く空を見上げ、静かに団地を去っていく。 人知れず踏まれ、蹴られながらも、人間らしい誠意と温もりを手放さなかったひとりの男の、小さくも確かな人生の記録。

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エブリスタ2025/06/01
  • 現在の作品踏まれたり蹴られたり 管理人の気持ち