あらすじ

明治の終わり、腕利きの木工職人景司は、ひっきりなしの注文に疲弊し、「不眠症の若者求む」と珍妙な求人広告を出す。夜通し働ける者を助手にしようという算段だった。現れたのは、赤い目をした青年・崇。「眠れぬ夜が続いております。」と自信ありげに語るその姿に、景司は胸を躍らせた。ところがその晩、崇は工房の片隅で眠り込んでいた。なんと、木の香と鑿の音に包まれた工房で、崇の不眠は初日で癒えてしまったのだった。 一度は解雇を考える景司だったが、崇の真面目な働きぶりと、夜の静寂の中で交わした言葉に、かつての自分を重ねていく。崇は旅修行に出て成長して帰ってくる。やがて工房は評判となる。町の若者たちも工房を訪れ、眠れぬ心を抱えた者たちが、木の香の中で次第に穏やかな寝息を立てるようになってゆく。 眠れぬ者を求めて始まった工房は、いつしか「眠りをつくる場所」として、人々の心を静かに照らす灯となった。

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エブリスタ
エブリスタ2025/06/10
  • 現在の作品眠りの工房