あらすじ
就職氷河期の只中に卒業を迎えた青年・景司は、就職試験の結果を不安に過ごしていた。努力はしたが自信はなく、精神的に追い詰められ、実家に身を寄せている住職の叔父・崇に泣き言を繰り返す。しかし崇は「済んだことにうろたえるな。落ちたら、それより良い奴が受かるだけ」と達観した言葉で景司を突き放す。やがて採用通知が届き、景司は社会人としての日々を送るが、叔父の言葉は心に残っていた。
ある冬の夜、テレビ中継で国際大会の女子スケーターが敗北し泣き崩れる姿を目にした景司は、ふと叔父の言葉を思い出す。「泣くのは、勝って当然と思っていた証拠だ」「負けた相手にも礼を欠く行為だ」。その教えを思い返し、かつての自分もまた、他者を見下げていたことに気づく。景司はようやく、負けることや失敗の意味を知り、誇りと節度を学んだのだった。