あらすじ
高野山・奥の院にひっそりと置かれた「力石」は、格子の小窓から片手を差し入れ、丸い石を台の上へ持ち上げるというもの。景司の息子悠人は、幼き日に父と訪れ、その挑戦に失敗したが、青年期に再訪し、ようやく片手で石を持ち上げた。時を経て、娘景子の前で悠人は石を再び持ち上げるも、老いた父の姿にやがて力は衰えていく。
しかし景子は、その重さの意味を受け取り、父の言葉「覚悟がいるんや」を胸に、自ら石を持ち上げる。そして成長した景子は、人の思いや文化を“片手でつなぐ”仕事に就き、やがて小さな命を授かる。
家族三世代で訪れた奥の院。今度は景子の息子が石の前に立つ。石は上がらなかったが、娘は言う「それでいいよ。ちゃんと、つながった。」。石はただの石ではない。それは“覚悟”と“思い”を片手で継ぐ、静かな儀式だった。