あらすじ

日常に棲む奇譚集。袋小路のランドリー室が今夜も怖い。今夜はなぜか……。 「ランドリー」 濡れた洋服が大量に入っている重たい籠が二つ。今日もランドリー室が憂鬱だ。 いや、憂鬱ではなく、本当のことを言うと怖いのだ。でも怖いと言ってしまうと本当に怖くなってしまう。 ある夜、いつも消えて真っ暗なはずの、ランドリー室に灯がついている。ついさっき私が消したばかりではなかったか……。 「Re・サーチ」 ずぶずぶと、まるで波が引いた砂浜の上を歩いているようだった。灰色のタイルカーペットの上。 唯一輝いているのは自分のパソコンだけ。非常口の灯りが眩しい。灯りに誘われる羽蟻ように非常口に進む。手前のエレベーターが和希のいる階で止まっている………。座る。 「絹子さん」 「絹子さん、こんにちは。ヘルパーの秋山です。今日も外は寒いよ〜」 「こんにちは〜。寒いねぇ。いつもご苦労様」 仏様のように微笑む絹子さん。 「絹子さん、でもこの部屋はあったかいね。お弁当はどこがいい? ここに置きますね。」 いつもと同じようなやりとり。 「じゃあ、私はお掃除、始めますね」 私は部屋を出ようと襖に手をかけると— 「こんにちは〜 やっぱり外は寒い?」 不思議そうな顔をする絹子さん。挨拶済ませたの、もう忘れたのかな? 「さゆり」 同情されるのが1番嫌いなの。 そのお姉さんはいつもおどおどしながら入ってくる。 他のおばさんからはなんの感情も感じられない。おばさんたちはスタスタと入ってくる。 つまり仕事だとは割り切って、奥の部屋まで入っていくの。 だけど、そのお姉さんは- うわわぁぁぁぁ……。 みたいな顔で毎回入ってくる。 怖いなぁぁと、声が漏れ出ていたときもあった。こっちがうわぁぁって言いたくなる。 お姉さんは扉が壊れて外された子供部屋を横目でちらっと覗いていく。他の人は子供部屋なんて興味もなくて、全然見ないのに……。

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小説を読もう2025/07/23
  • 現在の作品ランドリー他、日常に棲む奇譚集