あらすじ
かつて東京でデイトレーダーとして成功し、邸宅に暮らしながら自らを「差別しない人間」だと信じていた景司。しかし経済ショックと伝染病の影響で資産を失い、すべてを手放すと、賃貸暮らしに落ちた自分を恥じる心に気づかされる。唯一残った友人・崇に「お前は賃貸の人間を見下していた」と指摘され、言葉を失った景司は、すべてを振り払うように四国の故郷に戻る。
田舎で人目を避けるように暮らす中、崇の町工場で働き始め、人の温もりや小さな労働の価値にふれ、自身の価値観が変わっていく。若者と向き合う小さな学び舎「風にほどかれて」を開き、町の未来を支える活動へと広げていく中で、景司は自らの過去と向き合い、人間としての再生を遂げていく。
転んでもまた立ち上がる稲穂のように、景司は静かに、しかし確かに自分の根を張っていく、失敗と赦し、友情と再生の物語。