あらすじ
中小企業に勤める小市民景司は、ふとしたことから競馬にのめり込み、預金を吸われて泣きながらうどんを啜るような日々を送る。ギャンブルが存在するせいで自分は破滅するのだと考えるも、友人の言葉をきっかけに、そこに関わる人々の生活や“必要悪”の側面に気づかされる。やめたいのにやめられない自分に向き合いながら、景司は一歩ずつ「選び直すこと」の意味を探っていく。迷い、揺れながらも、彼は依存を否定するのではなく、自分の弱さを引き受け、日々を自ら選び取る生き方を模索する。やがて同じ苦しみを抱える人たちとの出会いを通じて、景司は自分自身の歩みが、他者の灯にもなりうることを知る。そして「やめた」ではなく、「今日も選び直せた」と言える日々を重ねていく。これは、“弱さ”を抱いたまま生きていくことの静かで強い物語である。