あらすじ
町工場に勤める独身男景司のささやかな楽しみは、月に一度の給料日に行く回転ずしだった。決まって食べるのは、まぐろ、たまご、えんがわ、はまち、あじ、いなり、そして赤だし。七皿千円の“小さな贅沢”が、彼にとって人生の証のようだった。
ある日、店でひとり、まぐろ一貫だけを食べる高校生篤志と出会う。二人は無言のまま、回転ずしのカウンターで少しずつ言葉を交わすようになり、やがて景司は篤志の夢、料理人になることを知る。
やがて景司は病に倒れ、静かに人生を終える。その遺志を受け継いだ篤志は、景司の“七皿”だけを出す小さな寿司屋「七皿」を開店する。そこには、景司が愛した味と心が、確かに生きていた。
たった一貫の寿司でも、人は繋がれる。
うまいもんは、立場や金じゃなく、心で食べるものだった。