あらすじ
中学1年生の春川日葵。
教室では誰にも名前を呼ばれず、家庭では存在を無視される日々。
友達も、会話も、笑顔もない。ただ、透明のように学校を通り過ぎるだけ。
そんな日葵が出会ったのは、クラスで誰からも愛されている少女・橘楓。
その明るさと人気に、日葵は心を奪われる。
「私も、あの子みたいになりたい――」
憧れは、やがて模倣に変わり、やがて“なりすまし”へと踏み込んでいく。
嘘のSNS、盗まれた名前、すり替えられる日常。
そして、“日葵”が静かに消えていったそのあと、
“楓”としての少女の生活が始まる。
それは救いなのか、それとも…狂気なのか。
「わたしはもう、春川日葵じゃない」
名前を変え、顔を変え、世界に存在するために少女が選んだ、
静かで確かな“幸福”のかたちとは――。